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第109話 金は減るが、比例する登録者数

last update publish date: 2026-10-20 06:00:04

 そこからさらに1週間。登録者数は――

 7万1000。

 7万8000。

 8万3000。

 8万9000。

 とんでもない勢いで伸び続けた。

「ヤバいヤバいヤバい!」

 俺はスマホ片手にスタジオをうろうろしていた。

「あと1万ちょいじゃん!」

「だから言ったでしょ?」

 成美は余裕たっぷり。

「10万人いけるって」

「銀の盾だぞ!?」

「うん」

「銀の盾!!」

「知ってる」

「欲しい!」

「子供みたい」

「成功者の証だろ!」

 俺の頭の中ではすでに銀の盾を抱え、高級スーツを着て。結月の前に立っていた。

『陽太さん……すごい……』

『フッ。

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  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第109話 金は減るが、比例する登録者数

     そこからさらに1週間。登録者数は―― 7万1000。 7万8000。 8万3000。 8万9000。 とんでもない勢いで伸び続けた。「ヤバいヤバいヤバい!」 俺はスマホ片手にスタジオをうろうろしていた。「あと1万ちょいじゃん!」「だから言ったでしょ?」 成美は余裕たっぷり。「10万人いけるって」「銀の盾だぞ!?」「うん」「銀の盾!!」「知ってる」「欲しい!」「子供みたい」「成功者の証だろ!」 俺の頭の中ではすでに銀の盾を抱え、高級スーツを着て。結月の前に立っていた。『陽太さん……すごい……』『フッ。ようやく俺の価値が分かったか』 完璧。「成美」「なに?」「10万人いったら、結月にも絶対見せる」「……何を?」「銀の盾」「どうやって?」「持って会いに行く」 成美が呆れた顔をした。「重くない?」「そこじゃねえだろ!」 感動の再会だぞ!「まあいいけど」 成美はノートパソコンへ視線を戻した。「でね」「ん?」「10万人まで、一気に押し切りたい」「おう」「今勢いがあるから、ここで広告止めるのが一番もったいないの」「なるほど」「ショートも増やして、コラボも入れて、広告もさらに回したい」「やれ!」「……金額聞かないの?」「

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第108話 かなり減った残高

     300万円の広告費を追加で突っ込んでから、また数字が跳ねた。 広告の露出が増え、ショート動画が回り、俺の顔が、あちこちのおすすめ欄に出るようになった。 そして登録者4万人。 4万3000。 4万7000。「来てる……」 俺はスマホを握りしめた。「完全に来てるぞ……!」 成美からも、毎日のように連絡が来る。『陽太君、今日のショート15万再生』『切り抜きも伸びてる』『案件候補も3社来てるよ』「案件!?」『うん。まだ小さいけど』「いくら?」『1本20万くらい』「20万!?」 喋るだけで?『陽太君の場合、キャラが強いから企業も興味持ってる』「キャラじゃねえ。人間性な」『はいはい(笑)』「はい1回!」『なに?』「今の雑!」『ごめん♡』「……まあいい」 こんな調子で数日後。 第8回配信。 視聴者は、ついに6000人を超えていた。「今日は重大発表があります!」『何?』『結婚?』『成美さんと?』『借金返した?』「どれも違ぁーう!」 俺は画面の前で胸を張る。「企業案件が決まりました!」 ピースでどや顔のアップが映る。『おお』『マジで売れてきた』『一条伝説すげえ』『成美さん仕事できすぎ』「また成美かよ!」 スタッフが横から笑っている。 成美も、少し離れたところで、スマホ片手に笑っていた。「俺の魅力あってこその案件だからな!」『はいはい』『

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第107話 俺は勝っている男

     150万円を払ってからさらに2週間。俺の配信環境は、完全に変わった。「おお……」 新しい撮影スタジオ。 正面には大きなモニター。 背景には『YOHTA』のネオン。 高級そうなソファ。 本棚に観葉植物。 意味はよく分からないが、やたら金持ちっぽいオブジェ。「どう?」 成美が得意げに聞いてきた。「……めっちゃ俺っぽい」「でしょ?」「成功者感すごくね?」「すごいすごい」 俺はソファに深く座った。「これなら結月も見るだろ」「……まだ結月ちゃんのこと言ってるの?」「当たり前だろ」「ふーん」 成美が、少しだけ面白くなさそうな顔をした。 お?「なに?」「別に」「嫉妬?」「してないけど?」「フッ」 してるなこれは。 完全にしてる。 俺、モテ期入ってんな。 そんなモテ男ヨーチューバ―、新スタジオからの初配信。「どうも!」 俺は両手を広げた。「進化した一条陽太です!」『背景豪華になってる』『金かけたな』『成美さん有能』『ネオン草』「ネオン草ってなんだよ!」 視聴者。 開始10分で2000人。 30分で4500人。「今日すげえぞ!」『伸びてる』『伝説始まった』『本当に有名になってきてる』 気持ちいい。めちゃくちゃ気持ちいい!!「みんな」『なに?』

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第106話 150万円即決で!

     100万円を追加で入れてから、成美の動きは、さらに速くなった。 翌朝。『陽太君、今日からショート3本ずつ出すよ』「3本?」『うん。昼、夕方、夜』「そんなに?」『アルゴリズムに覚えさせるの』「アルゴ……?」『陽太君は覚えなくていいよ』「そう?」『喋ってればいいの♡』「なるほど」 役割分担ってやつだな。 俺は表。成美は裏。 やっぱり完璧。 その日の昼。1本目。『借金30億でも「俺は勝ち組」と言い切る男』「また借金ネタかよ!」 でも、再生数7万。 夕方。『元御曹司、一条陽太。「アンチは成功者の証」と断言』「お、これはカッコいい」 再生数12万。 夜。『宝くじ3千万円を「実力」と言い張る男』「言い張るじゃねえ! 本当に実力だ!」 再生数23万。 俺はスマホを持ったまま固まった。「23万?」『伸びてるね』 成美から即メッセージ。「伸びてるどころじゃねえだろ!」『登録者見てみて』 開く。「……3400?」 昨日まで1000人いなかった。 なのに。「1日で?」『うん』「すげえ……」『だから言ったでしょ?』 俺、やっぱり売れる才能ある!!「成美」『なに?』「俺たち、最強じゃね?」『今さら?』

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第105話 悪魔女に100万円払う男

     俺はワイングラスを置き、腕を組んだ。「先に言っとくけどな」「なに?」「俺、もう4年前の俺じゃないから」「うん」「金なら何でも出すとか、そういうのはなしだぞ」「もちろん」「『ブランド物買って♡』とかもナシだからな」「わかってる。だから私も今は仕事の話してるよ? バッグ買ってなんて言ってないよね?」 成美がまともだ。逆に怖い。「で、いくら必要なんだ?」「そうね……」 成美がスマホを操作した。「まず最初は30万円くらいかな」「30万?」 思ったより安い。「何に使う?」「編集費。切り抜き制作。ショート動画の制作。それと広告テスト」「広告テスト?」「いきなり大金を使うんじゃなくて、まず少額でどの層が反応するか見るの」 なるほど。「あと、私のコンサル費」「いくら?」「最初の1か月は10万円でいいよ」「合計40万?」「うん」 3千万円のうち。 40万円。「安くね?」「安くしてるの」「なんで?」「陽太君だから。昔のこともあるし、最初はそれでいい」 なんでもないように言ってのけた。「成美……」「でも、ちゃんと結果は出すよ」 俺は少し考えた。 40万円。高いといえば高い。 だが、登録者10万人に月収1000万円。 その未来を買うと思えば――「安いな」「でしょ?」「よし」 俺は即決した。「払う」「本当に?」「ああ」

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第104話 カモネギ男 VS 悪魔の女

    「陽太君、昔からそうだった」「…………フッ」 やめろ。その攻撃はなかなか危険だ。「謝罪はもういいよ。それより配信の話、聞かせてくれ」「あ、うん」 成美の目が少し変わった。「今日の配信、本当に面白かったよ」「だろ?」「うん」「俺も初回にしては悪くないと思ってる」「悪くないどころじゃないよ」「え?」「初配信で200人以上でしょ?」「284」「すごいよ」 そう?「普通、最初なんて誰も見てくれないから」「やっぱり?」「登録者も?」「192」「ほら」 成美が身を乗り出した。「絶対才能あるよ」 来た。才能。 俺の好きな言葉。「ただ」「ただ?」「もったいない」 俺の眉が動いた。「何が?」「今の配信」 成美はスマホを取り出した。「陽太くん本人は面白いのに、見せ方が素人っぽい」 なんだよ素人っぽいって。 ちょっとムカつく。「照明も、カメラも、背景も」「全部100万かけたぞ?」「機材の値段じゃないの」「え?」「使い方」 成美が笑う。「あとタイトル」「YOHTA CHANNEL?」「それもだけど、動画タイトルも悪いし、切り抜きも作ってない」 タイトルそんなに悪かったかな。「ショート動画もないし」「うん。始めたばっかりだから」「SNSも連動してない」

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第7話 帝登場

     それどころか、前世の一条グループじゃ逆立ちしても手が届かなかった財界のドン・武藤会長に自分からすり寄って、なんかクソ難しそうな半導体の話をして、あっという間に気に入られてやがる。 俺にわからねえ話で盛り上がるなんて……生意気だ!「おい、ふざけんなよ……! なんであいつ、俺をあんなゴミを見るような目で見たんだよ……っ!?」

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第6話 記憶のある男 Side:一条陽太

    「な、んでだよ……っ!!」 俺は、武藤会長を連れて女王様みたいに華やかに去っていく白峰結月の後ろ姿を、ただ口を開けて見つめることしかできなかった。 驚きとパニックに、名刺入れを握る指先がみっともなくガタガタと震える。 周囲の連中が「何だあいつ?」と俺をクスクス笑っている気配がして、顔がカッと熱くなった。 おかしい。こんなの絶対におかしい!

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第5話 極上の人生、第一歩

     その困ったような笑顔。前世で私の心をいとも簡単に溶かしたあの顔。 不思議だった。あれほど焦がれた表情を前にしているのに、私の心は凍った湖のように静かだった。 手を伸ばして彼に武藤を紹介し、二言三言の助言を与えれば、彼はすぐに息を吹き返す。そしてまた、あの幸福で——その実、破滅へと続く十年が始まるのだ。 私はゆっくりと微笑んだ。  前世の私なら、ここで罪悪感に押し潰されていただろう。困っている人を見捨てる冷たい女だと、自分を責めたはずだ。けれど私を無情に切り捨てた男のために、これ以上、自分の優しさを安売りするのは——終わりにする。「ごめんなさい。人違いだと思いますわ」「えっ……

  • 死に戻り令嬢は、初恋を選んだ元婚約者が土下座しても絶対に許さない   第4話 選択

     シャンデリアの光の下で、若き日の一条陽太は、滑稽なほど浮いていた。 仕立ての悪いスーツ。借り物のような笑顔。名刺入れを握りしめる指先は、誰の目にも分かるほど強張っている。この華やかな会場にいる誰もが、彼を「場違いな田舎者」として、視界の端で処理していた。 二十二歳の陽太。まだ、何者でもない。これから十年をかけて私を喰い尽くす牙も、初恋の女に狂って身を滅ぼす弱さも、その内側にすべて眠らせたまま、彼はただ、必死だった。 前世の私は、その姿に、どうしようもなく惹かれたのだ。磨けば光る原石だと、本気で信じた。そして、光らせてやれるのは自分だけだと——思い上がっていた。 今なら分かる。私が惹

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